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浦 島 太 郎

あらまし

浜でカメがいじめられていました。それを助けた浦島は、竜宮へ案内されます。
そこで乙姫に、ご馳走や踊りでもてなされ、楽しい日々を過ごします。
気が付くと三年の月日が経ちました。

竜宮から元の場所へと戻ってみると、そこはなんと七百年後の世界になっていました。

帰る際におみやげとしてもらった玉手箱は、乙姫から決して開けてはならないと言われていましたが、それにもかかわらず、浦島は箱を開けてしまいます。

すると真っ白の煙がでて、浦島はあっという間に、よぼよぼのおじいさんになってしまいました。玉手箱は竜宮で過ごした『時』を封じていたのでした。

 

 風船職人SHINOのコメント

もっとも有名な昔話の1つ、浦島太郎です。

竜宮の3年が、現実世界の700年に相当していて、その時を玉手箱に詰め込んだことにより、浦島太郎が元の年齢のまま、現実世界に戻って来れた。

こんな設定、なかなか考えつきません。発想が豊かというか、頭が良いというか。パラレルワールドやタイムトラベルといった概念にも通じますよね。今でこそ当たり前ですが、このお話ができた当時には、そんな概念は無かったでしょうし、きっと画期的なストーリーとして、あっという間に広まったんではないかなって、想像します。

お話の最後に玉手箱を開けてしまうのが、なんとも人間味溢れています。一瞬でおじいさんになってしまうというのは、お話のオチとしても面白い。

ただ、よく考えると、恐ろしい話です。カメを助けたお礼に、竜宮に招待され、良い思いをしますが、帰ってみると時代は変わり孤独の身となってしまうわけですから。

魅惑的な竜宮と現実の世界との関係が不思議で、微笑ましいけれど、ほろ苦いオチですね。それが人の心を惹き付けるように思います。

 作品づくりについて

お話の中で、どのシーンをつくるか、悩むところですが、カメに乗り、玉手箱を大切そうに持って帰る浦島太郎をつくりました。

お話から受けた浦島のイメージは、純朴、そして少し能天気かな。
このイメージから、顔は優しくあどけない表情になるように試みました。できるだけ線が入らないように、単純な構造に。線がたくさん入ると、ゴッツくなるので。


水色の上半身の衣装は、着物に見えるようにテクスチュアに気をつけてデザインしてみました。斜めに線が交差するようにして、上下左右の線がないように。線の方向だけで、セーターっぽくもなるし、着物っぽくもなる。こういう工夫が作品づくりの醍醐味。楽しいところです。


さて、作品のポイントとなる腰箕には、モカブラウンという色の風船を膨らまさずにそのまま使って表現しています。作品展でも、たくさんの来場客から「お〜、これもバルーンで作っているんだ!」って声があがっていました。


亀にもこだわりのポイントがあります。甲羅です。五角形と六角形を組み合わせてつくるサッカーボール構造を応用して作っています。


玉手箱の赤い結び紐も、膨らませていない風船です。


海を表現するために、マーブルの青と濃淡のある青のバルーン台座に載せています。マーブル色の風船は、どれも少しずつ柄が違っていて、2つと同じ柄がないというものです。少し値が張る風船ですが、とてもキレイなので気に入っています。

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